運転者の義務である自賠責保険の特徴と利用方法

車両を運転する全ての人が加入義務を負う自賠責保険は、事故の被害者を救済するための最低限の補償を提供する目的があります。

ここでは、自賠責保険の成り立ちを知り、その特徴と利用方法について解説します。

全ての運転者が加入義務を負う自賠責保険とは

自賠責保険は正式名称を自動車損害賠償責任保険といい、自動車・原付バイク・自動二輪等、運転免許を要する乗り物の運転者は必ず加入しなければいけません。

自動車損害賠償保障法第1章では、自賠責未加入の状態で運転してはいけないと明確に定められており、事故を起こしたかどうかに関わらず、無保険のまま運転すると1年以下の懲役か50万円以下の罰金、車に自賠責保険証明書を積んでいなかった場合は30万円以下の罰金がそれぞれ課されます。

さらに無保険のまま運転した場合は即免許停止処分を受けることになります。

自賠責保険の歴史

日本で初めて自動車保険が誕生したのは大正3年のことで、まだ自動車が1,000台程度しか走っていなかった頃でした。

しかし車両数は昭和28年で100万台を超え、高度成長期に伴い自動車を所有する人が一気に増加し、それと同時に交通事故件数も激増しましたが、自動車保険が浸透していなかった当時の事故では、被害者は補償を得られず泣き寝入りを強いられていたのが現状だったのです。

この事態を重く捉え、政府は昭和30年に事故被害者の救済を目的とする自動車損害賠償保障法を制定し、全ての運転者に自賠責保険の加入義務を負わせるに至りました。

現在では、車両販売店だけではなくコンビニエンスストア等でも気軽に加入手続きができるようになり、自賠責保険が登場した頃に比べると運転者の意識も遙かに向上したと言えるでしょう。

自賠責保険の補償範囲と補償額

自賠責保険では、補償範囲と補償額が段階的に定められており、被害者の状態に該当する金額が一律的に支払われる仕組みになっています。また、人身事故の相手方への補償に限られ、物損部分は補償範囲外となる点にも注意しましょう。

事故が起きた場合、被害者1名に対して以下が補償されます。

  • 怪我の治療関連費用に対して限度額120万円まで補償
  • 後遺障害に対する慰謝料と逸失利益分として、14級の合計74万円から1級の合計4,000万円まで補償
  • 死亡に対する慰謝料と逸失利益分等として、合計3,000万円まで補償

それぞれ限度額の設定がありますが、被害者が2名の場合は同条件で2人分の補償が行われることになります。また、示談合意前に被害者が当面の治療費を要する場合、仮渡金の制度により被害者は必要な金銭を受け取ることが可能です。

仮渡金に関しても補償範囲と金額上限が決まっているため、事前に確認が必要です。

自賠責保険の加入窓口と必要書類

自賠責保険は、車の販売店や損保会社で加入することができます。
一般的には、車の購入時にそのまま販売店で自賠責保険に加入することが多いと言えます。

原付バイクや軽二輪の場合は、郵便局やコンビニエンスストア、インターネット経由で加入手続きを進められるのでさらに手軽になりました。自動車に比べバイクの無保険率は高いとされ、加入義務があるにも関わらず自賠責加入率は7割程度と言われています。

いつでもどこでも加入できる環境が整備されていったのも、二輪の運転者の加入状況を促進させるためだと考えることもできます。

加入に際して車検証と現在契約中の自賠責保険証明書が必要になりますが、原付バイクや軽二輪等のように車検がない車両の場合は、標識交付証明書(原付バイク)か軽自動車届出済証(軽二輪)のいずれかと現在契約中の自賠責保険証明書を揃えて申し込みます。

普通自動車の掛け金は2年だと25,830円、3年では35,950円となりますが、軽二輪と原付バイクは2年から5年の間で申し込むことができ、軽二輪は2年だと12,220円、3年では15,720円になります。

原付バイクの場合は2年で9,950円、3年で12,340円です。
加入したら、自賠責保険証明書を必ず車両内に備え付け、軽二輪や原付バイクの場合は交付された標章をナンバープレートに貼ることになっています。

示談交渉が暗礁に乗り上げた時は被害者請求を行うことができる

一般的には、事故の加害者が自ら加入する任意保険に連絡の上、被害者の当面の治療費の負担が実行されますが、以下のようなケースでは被害者が加害者の自賠責保険に対して直接保険金を請求することができます。

これを「被害者請求」と呼びます。

相手方が示談に応じない場合や交渉自体が暗礁に乗り上げている場合

話し合いにならない状態やこじれてしまった場合は、被害者自ら被害者請求を行って保険金を請求することができます。

相手方保険会社に保険金支払い手続きを任せる事前認定に比べると手続きはやや煩雑になりますが、必要な金銭が手元にないまま時間だけが経過することを思えば、被害者請求は大きなメリットになる方法だと言えます。

保険会社による治療費打ち切りや納得いかない提示金額を回避したい場合

初めの段階から相手方保険会社による治療費負担を受けている場合、保険会社の判断によって治療費打ち切りを打診されることがあります。また、保険会社は加害者側の立場にあり、かつ営利企業であることから、低すぎる示談金額を提示してくることもよくあります。

被害者請求により自ら相手方自賠責保険に保険金請求を行うことで、治療費打ち切りに遭うことを避け、十分な治療を受けた上で適正な賠償金を獲得できるベースを作ることができます。

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